4月前半の流し読み

○日本人とリズム感 「拍」をめぐる日本文化論(樋口桂子著) ○日本の土偶(江坂輝彌著) ○藤原氏 権力中枢の一族(倉本一宏著) ○8・15と3・11 戦後史の死角(笠井潔著) ○日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか(矢部宏治著) ○日本はなぜ、「戦争ができる国」になったのか(矢部宏治著) ○北朝鮮核危機!全内幕(牧野愛博著) ○「未解」のアフリカ 欺瞞のヨーロッパ史観(石川薫著) ○バッタを倒しにアフリカへ(前野ウルド浩太郎著) ○遺伝子(下) 親密なる人類史(シッダールタ・ムカジー著) ○遺伝子(上) 親密なる人類史(シッダールタ・ムカジー著) ○宇宙に命はあるのか 人類が旅した一千億分の八(小野雅裕著) ○半分生きて、半分死んでいる(養老孟司著) ○私はどこで死んだらいいの? 在宅か施設か、それとも病院か。(志賀貢著) ○映画の中にある如く(川本三郎著) ○福岡市が地方最強の都市になった理由(木下斉著、写真) ○まったく新しい久留米案内(KADOKAWA) ○三月十五日 カエサルの最期(ソーントン・ワイルダー著) ○消滅遺産 もう見られない世界の偉大な建造物(ナショナルジオグラフィック編)

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釣谷真弓著「八橋検校 十三の謎」

八橋検校は江戸初期に活躍した近世筝曲の始祖というべき盲人筝曲家で、「六段の調べ」の作曲などで知られる。 この本はその伝記だが、箏曲をわからない人にもわかるように筝についてのていねいな説明を加えている。 八橋検校は筝の前に三味線で一家をなしていて、途中で筑前筝と出会い筝に転向する。三味線を知っていたことで筝に「平調子」を考案する。この「平調子」の考案が近世筝曲の始祖といわれる理由だ。 現在筝曲の流派は生田流・山田流をはじめとする多くの流派が伝承を続けているという。 八橋流は途絶えたと考えられていたが、昭和30年ごろ信州松代に八橋検校のままの八橋流筝曲が綿々と伝えられてきたことがわかった。その発見の経緯となぜ松代真田家に伝わったのかの話が、真田信之の話まで出てきておもしろかった。

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映画「野球部員、演劇の舞台に立つ!」

中山節夫監督による2018年公開の日本映画。 原作は竹島由美子著「野球部員、演劇の舞台に立つ!―甲子園、夢のその先にあるものを追いつづけて」(2010年出版)で西日本短期大学附属高等学校での実話をもとにしている。この原作は2012年に青年劇場で舞台化されて全国公演もしている。 甲子園出場を有力視されていたが秋の県大会予選1回戦でまさかの逆転敗退を喫した八女北高校野球部。そこに演劇部の顧問から野球部へ助っ人要請があり、ピッチャーの潤ら3人に演劇部行きの命令が下される。 実話が原作ということもあるだろうけれど、変に突飛なところとか甘ったるいところとか下手に盛り上げるところがなくて、素直に見られてキチンと伝わってくる映画だ。 バックステージものとしても興味深く見られるのは、演劇部に参加させられた野球部員という異質なものとの葛藤がちゃんと描かれていて、そこから演劇の魅力も野球の魅力も見えてくるからだろう。 原作者の竹島由美子氏が西日本短期大学附属高等学校で演劇部の顧問をしていた2003年~2004年のできごとを扱っている。2010年に原作の試し刷りを読んだ中山節夫監督から「映画化したい」と話があったという。 それから映画公開までのことは映画の公式サイトに簡単に触れられているが、そこにも大きなドラマがあったことがわかる。八女の風物を取り込みながらもご当地映画という感じがないのは、そのためだと思う。

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