映画「BPM ビート・パー・ミニット」

脚本家ロバン・カンピヨが監督・脚本を手がけた2017年のフランス映画。 1990年代初頭のパリ。エイズ患者やHIV感染者への差別に対してさまざまな抗議活動を行っていたACT UP Parisのメンバーたち。HIV陰性ながらその活動に参加しはじめたナタンは、行動派のメンバーであるHIV陽性のショーンと恋に落ちる。 エイズ活動家団体ACT UPのメンバーだったロバン・カンピヨ監督自身の経験をもとにしている。だからドキュメンタリーとしか思えないようなリアルな、生き生きとした画面に惹きつけられる。 だけど内容は重くて暗くて、見ているのがつらい。

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映画「ウィンストン・チャーチル」

ジョー・ライト監督による2017年のイギリス映画。第90回アカデミー賞でゲイリー・オールドマンが主演男優賞、辻一弘らがメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞した。ナチスドイツによってフランスが陥落寸前にまで追い込まれ、ダンケルクに追い詰められたイギリス陸軍壊滅目前という状況で首相に選任されたチャーチルの1940年5月9日からの27日間の闘いを描く。 ヒトラーとの和平交渉か徹底抗戦かという選択を迫られたチャーチルが、徹底抗戦という決断に至るまでのドラマだ。 アメリカはイギリスを助ける気はない。いちばんの政敵である和平交渉派の前首相らの弄する策をいかに乗り越えるかというところを描いて、ゲイリー・オールドマンの秀逸な演技もあってわかりやすいドラマになっている。

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TEAM NACS「PARAMUSHIR~信じ続けた士魂の旗を掲げて」ライブ・ビューイング

TEAM NACS 第16回公演「PARAMUSHIR~信じ続けた士魂の旗を掲げて」千秋楽ライブ・ビューイングをTOHOシネマズ天神で見た。 上演時間は2時間15分ほど。実際のできごとを扱った重いドラマをみごとなエンターテイメントとして見せる。上演後のカーテンコールが30分近くあって、これが実に楽しい。 劇団HPによる作品解説には次のようにある。 *** 1945年8月15日。この日、日本は無条件降伏を受け入れた。     しかしその後。  突如としてソ連軍の大部隊が、武装解除した孤島に攻め入ってきた!気持ちをもう一度奮い立たせ、再び銃を持つ兵士たち。 彼らが立ち上がらなければ、北海道は二分されていたかも知れない。日本最後の戦いの司令部があった「幌筵島」。私たちはまだ、その島の名前さえ知らない。 *** カーテンコールでの森崎博之のあいさつにあったが、ポツダム宣言受諾後に千島列島の北東部にある「幌筵島」(英語表記がParamushir)であった戦闘(占守島の戦い)について知った森崎が上演したいと思ったという。 内容は実に重い。前半は戦況などの説明と5人が集結するまでのことが描かれる。後半は5人が互いに語って一体感を持つという会話メインで進められる。エピローグとして50年後が描かれる。 北海道へのTEAM NACSの思いが顕れたいい舞台だった。

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