映画「野球部員、演劇の舞台に立つ!」
中山節夫監督による2018年公開の日本映画。
原作は竹島由美子著「野球部員、演劇の舞台に立つ!―甲子園、夢のその先にあるものを追いつづけて」(2010年出版)で西日本短期大学附属高等学校での実話をもとにしている。この原作は2012年に青年劇場で舞台化されて全国公演もしている。
甲子園出場を有力視されていたが秋の県大会予選1回戦でまさかの逆転敗退を喫した八女北高校野球部。そこに演劇部の顧問から野球部へ助っ人要請があり、ピッチャーの潤ら3人に演劇部行きの命令が下される。
実話が原作ということもあるだろうけれど、変に突飛なところとか甘ったるいところとか下手に盛り上げるところがなくて、素直に見られてキチンと伝わってくる映画だ。
バックステージものとしても興味深く見られるのは、演劇部に参加させられた野球部員という異質なものとの葛藤がちゃんと描かれていて、そこから演劇の魅力も野球の魅力も見えてくるからだろう。
原作者の竹島由美子氏が西日本短期大学附属高等学校で演劇部の顧問をしていた2003年~2004年のできごとを扱っている。2010年に原作の試し刷りを読んだ中山節夫監督から「映画化したい」と話があったという。
それから映画公開までのことは映画の公式サイトに簡単に触れられているが、そこにも大きなドラマがあったことがわかる。八女の風物を取り込みながらもご当地映画という感じがないのは、そのためだと思う。