釣谷真弓著「八橋検校 十三の謎」

八橋検校は江戸初期に活躍した近世筝曲の始祖というべき盲人筝曲家で、「六段の調べ」の作曲などで知られる。 この本はその伝記だが、箏曲をわからない人にもわかるように筝についてのていねいな説明を加えている。 八橋検校は筝の前に三味線で一家をなしていて、途中で筑前筝と出会い筝に転向する。三味線を知っていたことで筝に「平調子」を考案する。この「平調子」の考案が近世筝曲の始祖といわれる理由だ。 現在筝曲の流派は生田流・山田流をはじめとする多くの流派が伝承を続けているという。 八橋流は途絶えたと考えられていたが、昭和30年ごろ信州松代に八橋検校のままの八橋流筝曲が綿々と伝えられてきたことがわかった。その発見の経緯となぜ松代真田家に伝わったのかの話が、真田信之の話まで出てきておもしろかった。

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