香西秀信著「レトリックと詭弁」

「禁断の論議術講座」という副題がついている。 2010年に文庫化される前の書名は、「『論理戦』に勝つ技術―ビジネス『護心術』のすすめ―」。  「理屈と膏薬はどこへでもつく」というが、議論で相手の術中にはまってディレンマに陥らないように、「理屈」が含む(悪い意味の)レトリックと詭弁をきちんと見定めていく必要がある。この本は、そのために方法を伝授する。 とても読みやすい。 第1章 議論を制する「問いの技術」、第2章 なぜ「問い」は効果的なのか?、第3章 相手を操る弁論術、第4章 「論証」を極める、第5章 議論を有利にするテクニックの5章からなり、17話で構成される。取り上げられるエピソードはわかりやすくておもしろい。 第11話「プラトンの不安」のなかに、「わかりきっていることは論証できない」として、論証はそれ以上遡行する必要がない―ということが書かれている。 ネットなどではこの「わかりきっていること」を無視するような意見が多すぎる。

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