9月後半の流し読み

○哲学と宗教全史(出口治明著、写真) ○神話の心理学 現代人の生き方のヒント(河合隼雄著) ○シニア左翼とは何か 反安保法制・反原発運動で出現(小林哲夫著) ○悪と全体主義 ハンナ・アーレントから考える(仲正昌樹著) ○ナチ 本の略奪(アンデシュ・リデル著) ○なんにもなかった 戦中・戦後の暮しの記録 拾遺集 戦後編(暮しの手帖社) ○虐待死 なぜ起きるのか、どう防ぐか(川崎二三彦著) ○データで読み解く「生涯独身」(天野馨南子著) ○アフリカを見る アフリカから見る(白戸圭一著) ○ウイグル人に何が起きているのか 民族迫害の起源と現在(福島香織著) ○自己検証・危険地報道(安田純平著) ○ローマ字学 世界のアルファベットの秘密がわかる!(稲葉茂勝著) ○絶対に住めない世界のゴーストタウン(クリス・マクナブ著)

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9月に観た舞台

【演劇】 ○ 福島3部作 第一部「1961年:夜に昇る太陽」 (DULL-COLORED POP) ○ 福島3部作 第二部「1986年:メビウスの輪」 (DULL-COLORED POP) ○ 福島3部作 第三部「2011年:語られたがる言葉たち」 (DULL-COLORED POP、写真) ○ ラジオ・マクベス (アン・ボガート-シアター・オリンピックス-) ○ 人形の家 Part2 (PARCO STAGE) ○ お気にめすまま (東京芸術劇場) ○ けむりの軍団 (劇団☆新感線) ○ 授業 (志賀亮史-シアター・オリンピックス-) ○ ラプラタ川 (ベビー・ピー) ○ STUN/TURN:僕たちは、ぼーっとして、あたりを見廻す。 (劇団言魂×ジャカっと雀) ○ 反射する惑星 (ヒカリノオト) ○ かもしれない物語 (野外劇団楽市楽座)

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渡辺保著「演出家 鈴木忠志 その思想と作品」

渡辺保が鈴木忠志の代表的な作品の批評を通して、鈴木について熱く語った本である。 その序章「演劇の原点」の冒頭に、“いまなぜ鈴木忠志なのか”について渡辺は次の2つの理由を書いている。  ①今日の演劇界のなかでもっと本質的な問題を問う演出家だから。  ②その仕事が演劇の近代から現代への転換点を示し、その歴史的な意味が大きいにもかかわらず、その革命的な発明の歴史的意味が、今日忘れられているよう見えるから。 特に②に言うような、渡辺の“自分がいま書いておかねば!”という強い思いが溢れた本になっている。 取り上げられている作品は次のとおり。 「どん底における民俗学的分析」「劇的なるものをめぐって」「夏芝居ホワイト・コメディ」「トロイアの女」「バッコスの信女」「王妃クリテムネストラ」「桜の園」「リア王」「シラノ・ド・ベルジュラック」「別冊 谷崎潤一郎」「帰ってきた日本」「サド侯爵夫人(第二幕)」「世界の果てからこんにちは」「津軽海峡冬景色」 渡辺は、これらの主要な鈴木作品を丹念に読み解いて、その思想と演出の本質を明らかにしている。 渡辺は半世紀以上も鈴木の主要な舞台を観つづけていて、主要な作品の変遷までを熟知していて批評は鋭い。しかし記述は簡潔でわかりやすい。 上記②の、“その仕事が演劇の近代から現代への転換点示し”ているところの根拠として、例えば白石加代子の演技が“現代演劇”であることの証明はみごとというほかはない。そこからみごとに現在の日本の演劇状況を撃っている。

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