テアトル・エコー「八月の人魚たち」

福岡市民劇場の10月例会の舞台で、夜にももちパレス大ホールで観た。楽しかった。 作:ジェシー・ジョーンズ、ニコラス・ホープ、ジェイミー・ウーテン、翻訳:鈴木小百合、 演出:酒井洋子。 (あらすじ)アメリカ南部ノースカロライナ州アウターバンクスにある簡素なコテージ。この島々が連なる美しい海岸線の保養地へ、毎年夏の終わりに集うことを何よりも大切にする女たちがいた。かつて大学の水泳部で同じチームだった5人の同級生だ。1年に一度ここで迎える仲間との週末は、それぞれが近況を語りとりとめのないおしゃべりが続くだけ。しかしここは、永遠に続くように見える海と生涯の友情が確かに感じられる唯一の場所だった……。 5人の同級生たちの 44歳、49歳、54歳、77歳 の夏の仲間とのコテージでのバカンスを、2幕4場で描く。 同級生たちは、シェリー(主婦)、レクシー(ホテルのイベント・プラナー)、ダイナ(弁護士)、バーナデット(小学校教師)、ジェリー・ニール(修道女)の5人。 44歳のときはバーナデットを除けば元気で勢いと余裕があるが、49歳のときは少しばかり波風が立つ。54歳のときは波風が立つ前にハリケーンに襲われて脱出する。10年ほどの間を描くこの3場で、それぞれが持つ願いや悩みが顕れてくるが致命的なことにはならない。5人の願いや悩みが飛び交う会話は、それぞれの個性と抱えた状況が絡み合っていておもしろい。いろいろあっても結局は5人の友情が勝る。 77歳のときはダイナが亡くなっている。取り壊され…

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人形劇おひとり座「ばあさんの一人語り」

人形劇おひとり座の大人&シニア向け公演を、昼にサザンクス筑後のイベントホールで観た。まぁ楽しかった。 作・演出・美術・出演:西川禎一 と、なにもかもを西川ひとりでやる。上演時間はほぼ1時間。 ばあさん(人形)が自分の来し方を一人語りするという舞台で、ばあさんの語りに西川の説明語りが入る。 出てくる人形は、ばあさんの人形と、子守りをの子をおぶったばあさんの少女時代の人形の2体だが、後者は一瞬登場するだけ。舞台にはいつもばあさんの人形だけがあり、人形どうしのやり取りも人形と人間とのやり取りもないという人形劇だ。 西川がトランクを持って舞台に登場して観客に語りかけながら、人形が演じる舞台をアッという間に作り上げる。 ばあさんの人形は、突き出した大きな口と大きな耳が目立って犬か狐のような印象さえある顔で、エネルギーあふれてとても個性的だが、目はやさしく笑っている。動くととても表情豊かになる。 明治の最後の年に生まれて前の東京オリンピックの年に52歳で亡くなるばあさんの一代記だ。戦前は戦争に翻弄されて死が身近にあるような環境を生き抜き、戦後は女手ひとつで子どもを育てた。 西川の語りはユーモアたっぷりで明るく軽くテンポよく、非常に洗練された落語か漫談の趣だ。当時の社会の出来事をいちいち取り上げてチクリとやりならなので、厳しい話なのにとても楽しく聴ける。 ばあさんは、西川が高校を出たときに演劇の道に進むことを許す。西川は人形劇団京芸で全国巡演などの活動をし、「おひとり座」…

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11月に観たい舞台

【演劇】 ○ 組曲虐殺 (こまつ座&ホリプロ、写真) ○ カリギュラ (ホリプロ) ○ Q学 (田上パル) ○ 人形劇「リア王」 (ひとみ座) 【パントマイム】 ○ 清水きよしパントマイム (清水きよし) 【伝統芸能】 ○ 歌舞伎「小笠原騒動」 (平成中村座)

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