マタヒバチ「ホワイト ゴー ブラック ババババーン 不シギノ国編」

北九州市の東田大通公園の特設テント劇場で観た。つらい観劇だった。 この舞台は、滋賀、北九州、大阪、京都の4か所で上演。台本:河田まゆみ、演出:マタヒバチ。 ベートーベンの「運命」を長々とかけてセリフをわざとかき消すという、冒頭のわけのわからない演出から始まって、一向に進まない展開にほんとにイライラ。2時間近く経ったかなと思って時計を見たら、1時間しか経っていなかった。早く終わってくれ!と強く思っていたからなぁ。 出演は女性4人がそれぞれに役を持ったストーリーのある話ではあるが、それを構成する各場面はここぞ芸の見せどころ!とばかりに、内容は薄いのに変に膨らませていていびつだ。その芸も鍛錬されて洗練されたというものではなくて、かなりがさつな芸だから、劇的感興を引き起こせないし、見ていて心地よくなるというところはほとごんどない。 後半になってやっとそれらしい展開になって全体が見えてはきたが不十分で、やや派手なラストシーンをやりたいがためにこの人たちは芝居をしているんじゃないの?とさえ思った。 丸太を組んだせっかくの大掛かりなテント劇場なんだから、内容を充実してほしいよな。

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映画「スター☆トゥインクルプリキュア 星のうたに想いをこめて」

月イチの孫娘との映画行きの、今月見る映画に5歳の孫娘が選んだのがこれ。まぁおもしろかった。 人気アニメ「プリキュア」劇場版シリーズの通算27作目で、2019年2月から放送開始されてシリーズ史上初めて宇宙がテーマになった「スター☆トゥインクルプリキュア」の劇場版。監督:田中裕太、 原作:東堂いづみ、脚本:田中仁。 (あらすじ)プリキュアたちのもとにある日、不思議な生き物ユーマがやってくる。言葉が通じないユーマにひかるとララは振り回されてばかりだったが、やがて「うた」でユーマと気持ちを通じ合わせることができるようになり、ひかるたちとユーマは絆を育んでいく。 しかし、そこへユーマを狙う謎の宇宙人ハンターが出現。さらに、ユーマとはいずれ離れ離れにならなければならないということを知らされたひかるたちは、ユーマとみんなの思いを守るために立ち上がる。 こういう映画は初めて見るから、いろいろと珍しい。 「プリキュア」とは何かわかってなくて、登場する少女たちの見分けもつかないが、話がそれほど込み入らないのでさしたる支障はない。前半はテンポがのろいので少し眠ってしまって孫娘に起こされた。後半は舞台が宇宙に広がって見どころもたっぷり。 ユーマの造形、どっかの魔法少女アニメで見たな。 小学校低学年を対象にしているのかと思ったら、観客は就学前の子がほとんどで、もう少し下を対象にしているようだった。 作りはきちんとしていて、けっこうおもしろかった。大人の鑑賞にも耐えられるほどていね…

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キノG―7「今は昔、栄養映画館」

竹内銃一郎の戯曲を竹内自身の演出で竹内と松本修が演じるとなれば、もうこれは見逃せないと熊本のstudio in.K.まで行ったが、傑作戯曲を台なしにしたつまらない舞台だった。作者自身が自分の戯曲を貶めてはいけないだろう。 この舞台は、竹内が立ちあげた新たな企画「あと3年あと5本」の第一弾だ。竹内は72歳になったばかりで、老け込む歳ではない。「あと3年」とは75歳で区切りをつけるという意思表示なんだろうが、何で区切りをつける必要があるのか。 「今は昔、栄養映画館」は1983年に初演され、今もなお上演が繰り返されている戯曲だ。「あと5本」の残りが、今回のような自身の戯曲の劣化上演にならないことを願うばかりだ。 映画の完成レセプション会場でお客を待つ監督と助監督。あと5分で始まるっていうのにお客が全然来ない。なのに、列席予約の電話が次々にかかり始める。 20個ほどもイスが並べられた舞台で、監督と助監督とのコント的なやり取りが続くが、何の寓意も見えてはこず、最後まで見せ場は現れることはなかった。 竹内の舞台は、それなりの俳優がいて、そこに竹内の緻密な演出が加わることによって、舞台の質の高さが保証されていた。 この舞台では2人の出演者が、俳優が本職ではないことと歳を取ったことに甘えていて、本気で演じようとはしていない。加えて、演出も竹内自身によるために、徹底的に練り上げることをせずに、俳優のレベルに迎合した安直な演出に終始した。 竹内自身による前説からして逃げの姿勢…

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