ホリプロ「愛と哀しみのシャーロック・ホームズ」
三谷幸喜の新作舞台で演出も三谷。その大千秋楽を久留米シティプラザ ザ・グランドホールで観た。とてもおもしろかった。
シャーロックとその兄のマイクロフト、ワトソンとその妻 という2組の人間関係の葛藤を描いていくことで、シャーロック・ホームズとワトソンがコンビを組むようになったそのわけにまでみごとにたどりつく。
それぞれの人物が抱える葛藤はドラマの進展とともに、原因を自覚することで根拠を失って氷解したり、致命的なことでなければ放置されたりする。その過程で、マイクロフトに雇われていたワトソンがシャーロックの人間性に気づいて惹かれ、シャーロックもワトソンの葛藤のわけを知ってその人柄を理解することになる。
登場人物7人の2幕という舞台で、そういう展開をワクワクする趣向でみごとに見せてくれる。
1幕目はそのラスト近くのみごとなひっくり返し。それでそれぞれの人物の本音が見えてくる。それを受けた2幕目でもいくつもの魅力的な仕掛けで大きく展開しながらも、ラストに向けては伏線はみごとに回収されていく。それが実に心地よくて興奮させられる。
柿澤勇人、佐藤二朗、広瀬アリス、八木亜希子、横田栄司、はいだしょうこ、迫田孝也 と、とても魅力的なキャストだ。役のイメージの俳優を選んだうえで、その俳優に合わせてあて書きされているようだから、みごとにはまっている。荻野清子の音楽・演奏もすばらしい。
シャーロック・ホームズばりのミステリー仕立てだったらきついな、と観る前は思っていたが、やや複雑ではあるが…