三遊亭圓歌「やかん」(録画)

襲名したばかりの四代目三遊亭圓歌の「やかん」を、NHK-Eテレの「日本の話芸」の録画で見た。相変わらずだった。 古典落語として「やかん」をやるわけではない。形としては先代林家三平の「源平盛衰記」に似ているが、三平のように本題に全く入らないまま終わるというところまではいかない。 はじめの10分強は先代圓歌の話で、それなりにはおもしろい。そのあといちおう本編には入るが、八五郎が隠居を問い詰めるという話の骨子はそのままでも、出てくるものは現代のものに置き換えられていて、これ「やかん」か?という感じだ。 30年ほど前に企業内研修で当時歌之介だった四代目圓歌の講演を聴いた。コンプレックスをバネにいかに成り上がるかといった話で、自分のコンプレックスを強調するような話し方だった。落語でもそんな話し方で、いまもそれは変わらない。 話の区切りごとに、客に媚びるように上目遣いでじっくりと客席を見渡して、客の反応を確かめるしぐさを意識的に繰り返す。そんなことしなくても十分に受けているんだけど、この放送では客席の音をちゃんと拾ってなくて、受けている感じがないのが残念だった。 これを聴いたあと、三代目三遊亭金馬の「やかん」を聴いた。絶品だった。

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