寺田英視著「婆娑羅大名 佐々木道誉」
ことし4月に出版された文春新書。
佐々木道誉のことは名前だけかろうじて知っていた。勝手に思っていたのとかなり印象が違った。
ひとつは、思っていたよりも大物だったこと。室町幕府の中枢にいる権力者で、財力もたっぷりある。
もうひとつは、茶道、香道、花道などに通じた一級の文化人だったということ。庶民をビックリさせることはあっても、庶民らしさは微塵もない。
“婆娑羅”は当時の上級武士の間で猖獗を極めた乱暴な行動様式で、道誉だけが突出していたわけではないようだ。
道誉は当時の権力者としてまことにオーソドックスなことをしたが、地位と財力があったので目立っていた、ということのような気がする。
“婆娑羅”から“傾奇”になって、それが民衆の芸能とどう関わっていったのかは、別の書物だな。