辻凪子と大森くみこの活弁公演「ジャムの月世界活弁旅行ファイナル」

午後1時半から4時まで、福岡市美術館 ミュージアムホールで観た。 出演は、辻凪子(映画監督・女優)、大森くみこ(活動弁士)、天宮遥(ピアノ)、ガレッジセール・ゴリ(ゲスト)。主催は、活弁映画I AM JAM 製作プロジェクト。 この公演は、辻凪子と大森くみこの第1回活弁公演「ジャムの月世界活弁旅行」の「2022年ファイナル公演となっている。 2020年から上演されて、この公演は8回目の公演のようだ。辻凪子監督の活弁映画『I AM JAM ピザの惑星危機一髪!』(2022)の完成を機に、辻凪子と大森くみこが活弁公演『ジャムの月世界活弁旅行』を実施します!」と公式サイトにあるが、前後関係がわからない。 上映演目と弁士は次のとおり。 ○迷惑帽子 (監督:D・W・グリフィス / アメリカ / 1909年 / 3分) 活弁:大森くみこ ○月世界旅行 (監督:ジョルジュ・メリエス / フランス / 1902年 / 13分) 活弁:辻凪子 ○ぱん。(監督:辻凪子&阪元裕吾 / 日本 / 2017年 / 17分) 活弁:辻凪子&大森くみこ ○キートンの探偵学入門 (監督:バスター・キートン / アメリカ / 1924年 / 45分) 活弁:大森くみこ ○ポールの空中工夫 (監督:ラルフ・セダー / アメリカ / 1923年 / 14分) 活弁:ガレッジセール・ゴリ ○アフタートーク(辻凪子、大森くみこ、ガレッジセール・ゴリ) 「迷惑帽子」は、鑑賞マナーの 解説調だ…

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演戯集団ばぁくぅ「佐藤順一一人芝居『陽気な客』」

原作:山本周五郎、演出:佐藤順一。上演時間は75分。午後3時からアトリエ戯座で観た。 「陽気な客」は1949年初出の短編小説で、周五郎の須磨時代を題材にしている。 周五郎が友人の文士(文中では“おれ”)から飲み屋で、仲井天青という人物の話を聞かされる、ひとり語りの小説だ。 “おれ”は神戸の“神戸夜話社”という怪しげな雑誌社で、仲井天青とともに働いていた。仲井天青はかっては劇団を主宰して、小山内薫の自由劇場の向こうを張るような活躍をしていたのだが、いまは“神戸夜話社”の主筆に落ちぶれている。“おれ”の話は、そんな雑誌社の人たちを活写する。 演戯集団ばぁくぅは、佐藤順一の読演会で毎月新作を月に4ステージ上演していて、すでに135回を数える。その内容は多彩だ。 今年5月には新作舞台を上演して、そのDVDを発売した。ほんとに、コロナ禍でも手を緩めることなく活動を続けている。 この佐藤順一一人芝居「陽気な客」は、ばぁくぅがレパートリー作品として上演していく目的で企画・制作された。 今年6月に初演され、この8月の上演のあと、9月にも上演される。100回の上演を目指すという。 75分の全編、同じ衣装で、装置も変わらない。照明もほとんど固定で、音楽も音響もほとんど使われない。語りの魅力で見せる。 佐藤順一は、語り手の“おれ”のほか、登場する数人をよどみなく演じ分ける。その語りは絶妙だ。 ただ、原作小説をほぼそのまま演じるということもあってか、途中で少し眠くな…

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映画「夜明けの夫婦」

((C)「夜明けの夫婦」製作委員会) 2021年製作の日本映画で、上映時間は135分。R18+。午後5時50分からKBCシネマで見た。 脚本・監督:山内ケンジ 出演は、鄭亜美、泉拓磨、石川彰子、岩谷健司、筒井のどか、金谷真由美、宮内良 ほか。 (あらすじ) コロナ禍が終息した後の日本を舞台に、孫を望む姑のプレッシャーに晒されながら暮らす夫婦の姿を描いた社会派喜劇。 夫・康介の両親と一緒に暮らす33歳のさら。夫婦にはまだ子どもはおらず、義母・晶子はさらに対し、遠慮がちながらも子作りを催促してくる。しかしコロナ禍の間、さらと康介はすっかりセックスレスになっていた。しかも康介は近頃、他の女性と不倫している様子。一方、晶子は年老いた母をコロナで亡くしたこともあり、孫の顔を見たいという強い欲求で精神的に不安定になっていく。(映画.comの解説より) “純粋社会派深刻喜劇”と銘打たれている。 何とも不安定で暗い映画で、見始めではウンザリして、最後まで2時間以上も見続けられるか不安になった。 そんな不安定が、いろいろありながらも寸止めされて破綻はしない。ラスト、宮内良の歌う「夜明けの歌」に丸め込まれてしまった感はあるけれども、それでもまぁ楽しめた。 数分のけっこう長いシーンを積み重ねる形で作られている。それぞれの人物の子細な心情描写とそれらのすれ違い描写があるあるで、何とも喜劇的だ。 「城山羊の会」に出演されたことのある俳優が中心というキャスティング。舞台を観ているよ…

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