宮本直美著「ミュージカルの歴史-なぜ突然歌いだすのか」

新書版のコンパクトな「ミュージカルの歴史-なぜ突然歌いだすのか 」が刊行されたので、「演劇書を読む会」で取り上げた。 目次は、次のようになっている。 序 言葉か音楽か―古くて新しい問題 第1章 歌の世界と台詞の世界 第2章 芸術としてのオペラ・娯楽としてのオペラ 第3章 劇場とポピュラー音楽 第4章 ブロードウェイ・ミュージカルの確立 第5章 音楽によるミュージカル革命 第6章 音楽とサウンドが作るドラマ 終章 ポピュラー文化としてのミュージカル 補遺 ナンバー解説―音楽の役割 著者の宮本直美氏の専門は音楽社会学・文化社会学。 解説には次のようにある。 物語、台詞、歌で構成される舞台、ミュージカル。ヨーロッパの歌劇と大衆的な娯楽ショーをルーツに、19世紀アメリカで誕生した。 本書はその本質を音楽に注目して探る。ティン・パン・アレーのブロードウェイへの音楽供給から、1920年代のラジオの流行、統合ミュージカルの成立、60年代のロックの影響、80年代に隆盛するメガ・ミュージカル、そして2.5次元へ。歴史を辿りつつ「なぜ突然歌いだすのか」という最大の謎に迫る。 冒頭から第4章までは充実していて、読むのに時間がかかったが、とても参考になった。 第5章以降は解説に「音楽に注目して探る」とあるようにミュージカルの音楽性について語られるが、それまでとダブるところもあってやや冗長だった。「なぜ突然歌いだすのか」についても、こだわり過ぎに思えた。 「…

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