島田裕巳著「天皇と憲法」
「天皇と憲法 皇室典範をどう変えるか」は朝日新書から2016年に出版された。
著者・島田裕巳は著名な宗教学者だ。
全五章のうち、「第二章 わび状としての日本国憲法」が特におもしろかった。
日本国憲法の前文を「わび状」であるとして、二度と無謀な戦争を引き起こさないと誓っている、という。
その観点から憲法を見ていくと、それが何を目的としたものかがはっきりと理解される、として、各条項の意図と旧憲法との関係などが述べられる。
福田福田恆存語録「日本への遺言」の「第九条」という項目には、次のようにある。
「明らかな事は、第九条の意図は飽くまで消極的性格のものに過ぎぬという事であります」
「成る程、それは日本人を敗北感から、のみならず罪悪感から救ひ出し、再生の道を歩ませる為の「みそぎ」の役割を果たしたかも知れませんが、反面、道徳的に負なるものを正なるものに掏り替えるといふ無意識的な自己正当化の狡さを教へ込んだのであります」