2021年製作のアメリカ映画で、上映時間は138分。午後6時から中洲大洋1で見た。
脚本:スティーブン・レベンソン、監督:スティーブン・チョボウスキー、音楽:ダン・ローマー、ジャスティン・ポール、音楽監修:ジョーダン・キャロル、振付:ジャマイカ・クラフト
出演は、ベン・プラット、ジュリアン・ムーア、ケイトリン・デバー、エイミー・アダムス、ダニー・ピノ、アマンドラ・ステンバーグ、コルトン・ライアン、ニック・ドダーニ ほか
(あらすじ) 学校に友達もなく家族にも心を開けずにいるエヴァン・ハンセンが、ウツの治療のために自分あてに書いた「ディア・エヴァン・ハンセン」から始まる手紙を、同級生のコナーに持ち去られてしまう。後日、コナーは自ら命を絶ち、手紙を見つけたコナーの両親は息子とエヴァンが親友だったと思い込む。悲しみに暮れるコナーの両親をこれ以上苦しめたくないとエヴァンは話を合わせ、コナーとのありもしない思い出を語っていく。エヴァンの語ったエピソードが人々の心を打ち、SNSを通じて世界中に広がっていく。(映画.comの解説を一部変更)
原作となった舞台、ミュージカル「ディア・エヴァン・ハンセン」はオフブロードウェイ発で、もともとは2015年7月にワシントンD.C.のアリーナ ステージで世界初演を迎え、翌2016年3月からオフブロードウェイで上演された。話題を集めて同年12月にはブロードウェイでの上演が始まった。
翌2017年の第71回トニー賞では、ミュージカル作品賞、ミュージカル脚本賞、オリジナル楽曲賞、ミュージカル主演男優賞、ミュージカル助演女優賞、オーケストラ編曲賞の6部門を受賞。2018年にはグラミー賞ミュージカル・アルバム賞を受賞した。
このミュージカル主演男優賞を史上最年少で受賞したベン・プラットが、映画版でもエヴァン・ハンセンを演じている。
善意からとはいえエヴァンのついたウソがSNSで拡散していく。そのことにハラハラしっぱなしになる。
そういうやり取りは主にセリフとSNS画面でなされる。歌はセリフに引き続いて心情吐露に使われる。皆が善人で善意が積みあがっていく過程は繊細に描かれていて、何もなしで終わるわけはないのに、何もなしで終わってほしい、とさえ思ってしまうほどだ。
ウソがばれたあとも、まわりの人のエヴァンへの視線がさほど冷たくないことにホッとする。
微妙な心に動きまでをみごとなセリフで描き切った脚本の力技と、それを歌い演じ切ったベン・プラットの力量を通して、ド派手ではないミュージカルのよさをしみじみ味わった映画だった。
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