オペラシアターこんにゃく座「オペラ『あん』」

午後6時からサザンクス筑後 小ホールで観た。上演時間は1時間40分。食い足りない、つまらない舞台だった。 原作・台本:ドリアン助川(ポプラ社刊「あん」より)、作曲:寺嶋陸也、演出:上村聡史 出演:島田大翼、青木美佐子、飯野薫、豊島理恵、花島春枝、沖まどか、熊谷みさと、金村慎太郎 (楽士)クラリネット:橋爪恵一、ピアノ:寺嶋陸也 (あらすじ) 桜の季節。小さなどら焼き屋『どら春』に、老婦人の徳江が働きたいとたずねてくる。 最初は断るものの、店主の千太郎は、徳江の作る”あん”の味に魅了され彼女を雇うことに。 やがて店は繁盛するが……。(劇団HPより) 脚本がオペラの脚本になっていない。そのために曲も環境音楽になってしまった。 歌も細くて、メリハリがない。セリフいっぱいのただの音楽劇で演出も陳腐。あくびが10回以上も出てしまった。

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能楽協会九州支部「クリスマス能2023」

能楽協会九州支部の普及公演「クリスマス能2023」を、午後2時から4時50分まで大濠公園能楽堂で観た。 まず、今村嘉太郎の解説が7分ほど。簡潔だが内容は尽くされていた。 仕舞が次の4曲で、上演時間は20分ほど。 ・観世流「蝉丸」 シテ 今村宮子 ・観世流「邯鄲」 シテ 坂口信男 ・喜多流「天鼓」 シテ 大島衣恵 ・宝生流「山姥 キリ」 シテ 山岡晴美 ベテランの舞は見ごたえがあった。 舞囃子は、次の1曲で、上演時間は20分弱。 ・金春流「葛城 大和舞」 シテ 松井笙子 大和舞は「ゆっくりした序の舞」だと解説にあった。そこはじっくりした舞だが、全体的には緩急があった。 次の狂言は、上演時間約25分。 ・和泉流「隠狸」 主 野村万禄、太郎冠者 吉住講 大狸を後ろに隠して見せまいとする太郎冠者と、見ようとする主のやりとりがおもしろい。 中入り後の能は、上演時間1時間10分。 ・観世流「百萬 法楽之舞」 シテ 多久島法子 女曲舞の百萬が嵯峨の大念寺で、生き別れたひとり子を探すために狂い舞う。 この曲は、その百萬の芸をふんだんに見せるために、「車ノ段」「笹ノ段」「立廻リ」などに加え、「中ノ舞」まで舞う(法楽之舞)という芸尽くしの趣向となっている。 多久島法子はそんな百萬をたおやかに演じていた。

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鈴木ユキオプロジェクト「刻の花」

(北九州芸術劇場のHPより) 北九州芸術劇場 小劇場で午後7時から観た。上演時間は55分。 振付・演出:鈴木ユキオ、出演:鈴木ユキオ/八木咲 (解説) しなやかで繊細、かつ空間からはみだすような強靭な身体とダンスが魅力の鈴木ユキオ×物語を感じさせる写真で多くの人を魅了する写真家・八木咲のコラボレーション作品。「美術作品としての身体」をテーマに、これまでも国内・アメリカで上演され好評を博した本作は、写真とダンスで丁寧に時間と空間を紡ぐ、新しい「体験型」のダンスです。(北九州芸術劇場のHPより) 平板で退屈な舞台だった。写真とのコラボも、うまく行っているとは思えない。 客電をかなり落とした客席を、開演前から、ポケットライトを持った男が客席などを照らしながら動く。舞台上手には印画紙を洗浄中の水槽がある。 そんな薄暗いなかで、開幕後30分ほども鈴木ユキオのダンスが続く。八木咲とポケットライトを持った男は下手にいて映像の操作などをしているようだが、コラボというほどのダンスとの絡みはない。 延々と平板なダンスを繰り返すという振付で、思い切った演出もなくて、鈴木らしい切れ味が見られない。 その後の20分は照明も若干明るくなって、鈴木の動きは少しは見えるようになったが、鈴木らしい力強さには欠ける。 ラストの5分はシルエットだが、これは精緻さを欠いていた。

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